近頃の若い奴らは・・・

投稿者 prism : 19:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
イシュー・コミュニケーション
イシュー・コミュニケーション(イシュー・ブランディング)というのは、自社の商品や
サービスが解決しうるニーズや問題(イシュー)をまず世間に提起し、商品や企業
活動のブランディングにつなげていくというPR戦略です。
新たなイシューを社会に投げかけ、あるべき姿と現状の事実のギャップに気付か
せて、その商品・サービスが解決できる問題を浮き彫りにし、世の中に啓発するこ
とで、消費者がそれを「買う理由」を作っていく。商品自体を売り込むよりも、結果と
して企業の認知度や売上アップを図っていく。これがイシュー・コミュニケーション
の目的です。
大手メーカーが「お腹の周りが○○センチを超えたらメタボ予備軍です」と宣伝して
運動器具や健康食品を販売したり、「古い機種を使い続けるより省エネ型の新製品
に買い換えるほうがエコロジーです」と訴えて、自動車や家電の買い替えを推奨し
ていますが、これらも、イシュー・コミュニケーションのひとつといえるわけですね。
中小企業の中にも、こうしたイシュー・コミュニケーションをPR活動に生かしている
例があります。
福井県・若狭の塗り箸メーカー「兵左衛門」。同社は、私たちが日ごろ何気なく使っ
ている「お箸」に関する意外な問題点を、様々な切り口から提起して、啓蒙活動や
話題づくりにつなげています。
まず、100%自然素材の漆を塗った上質な箸を製造している同社は、「お箸は食べ
物である」という観点から、有害な化学塗料が使われた箸の危険性を指摘し、健康
な生活のために、口に入れても安全な箸を選択する必要性を訴えています。
続いて、「日本人の7割が箸をうまく持てない」ということに着目し、「お箸を上手く使
うことは手を器用に動かすことであり、脳の発達にも影響する」として、全国の幼稚
園や小学校などで「お箸の知育教室」を開催しています。この「箸育」の取り組みは、
今話題となっている「マイ箸運動」にもつながっています。
さらに、プロ野球選手などが使って折れた木製バットを回収し、箸として再生するこ
とで省資源化をはかると同時に、売上の一部をバットの原料となるアオダモの植樹
に寄付するという環境への取り組みを行っています。
「口に入れる箸の先が化学物質でいいのか」「日本人はなぜ箸をうまく使えなくては
ならないのか」「折れたバットを捨てるのは資源の無駄使いではないのか」・・・健康・
文化・環境など、日本人が関心を持つ事象にフォーカスを当て、自社の商品と関連
付けた問題を提起する。そして、その問題の解決に、自社がどう取り組んでいるか
ということを積極的に情報発信しています。
そして、これらの取り組みは様々なメディアで何度も取り上げられ、同社のブランド
力アップと商品の販売促進につながっているのです。
私が思うに、兵左衛門さんの商品や取り組みそのものよりも、優れているのはテーマ
設定のうまさというか、社会的な関心を集める問題点を見つけ出す、感性の鋭さだと
思います。こうした取り組みがなければ、同社も単なる伝統工芸品メーカーにとどま
っていたかも知れません。同社はイシュー・コミュニケーションによって、福井県の一
地方企業から全国ブランド、世界ブランドへと飛躍しようとしているわけです。
イシュー・コミュニケーションは、問題提起⇒情報発信⇒報道⇒認識⇒納得・共感⇒
意識・行動の変化、という流れです。社会に対して問題を投げかけ、消費者の意識を
変え、購買に向かわせる。
このようなマーケティング戦略は、地方の中小企業でも十分展開できると思います。
投稿者 prism : 22:18 | コメント (0) | トラックバック (0)
融通無碍~作品と商品
PRISMは今年4月20日で設立4周年を迎えます。
4周年の節目に考えたことなどを。
「素材にこだわる」、「国産にこだわる」、「手作りにこだわる」、「鮮度にこだわる」・・・・
この場合の「こだわる」は「妥協しないでとことん追究する」という意味で使っていると
思われるのですが、私は何となく違和感があるのです。「こだわる」って、こんなに
肯定的な言葉でしたっけ?
「学歴にこだわる」、「メンツにこだわる」、「処女にこだわる」とか、「ちょっとしたことを
必要以上に気にする」みたいに、少し否定的な意味で使われるのが本来だと思うん
ですね。
多くの中小企業の社長が、「○○にこだわってつくりました」とおっしゃるのですが、
そういう会社の商品がなかなか売れなくて困っている現実を目にします。その理由を
考えてみると、作り手のこだわりが過ぎて、市場に受け入れられないモノが出来上が
ってしまっていることが多い気がするんですね。
お菓子メーカーでいえば、「無添加にこだわって」「地元産原料にこだわって」「手作り
にこだわって」「デザインにこだわって」・・・こうして作っていくと、おのずとコストが高く
つき、価格を上げないと採算が取れなくなる。
社長は「うちのお菓子はとことんこだわったから絶対美味しい。だから、価値のわかる
人だけに食べて欲しい」と言います。キャッチコピーは「材料はすべて○○県産、無
添加、手作りの安心安全なお菓子」です。だから「良いものを作った。良いものを作る
にはお金がかかる。それを理解してくれる人は高い金を払ってくれる」と考えて、自信
を持って売り出す。
でも結局売れない。理由は、単純に高いから。おいしくても、高くて手が届かないお菓
子は商品としての価値がありませんよね。この社長が目指しているお菓子は「商品」
ではなく自己満足だけの「作品」なのではないでしょうか。
音楽の話で言うと、アーティストがCDを作るとき、歌詞や曲にこだわって、演奏にこだ
わって、とことん金を掛けて録音したCDが全く売れないことはよくある話。アーティスト
は本来、「作品」を作るのが仕事ですが、音楽マーケットの中では、「商品」として考え
なくてはなりません。
作品としては「良いもの」であるかどうかが大事ですが、アーティストがどんなに「良い
もの」を作ったとしても、「ちっとも買う気が起きないもの」であればそれは絶対にヒット
しません。逆に、タレントがテレビ番組の中でお遊びで作った企画物のCDが爆発的に
売れる、なんてこともよくあります。この場合、作品としては二流以下かもしれないけれ
ど、商品としては高い価値があった、つまり、売上は作品のクォリティには比例しない
ということですね。
企業が世に出すのは、「良い作品」と「売れる商品」のどちらも満たすのが理想。でも、
時として正反対の方向のどちらかを選択しなければならないときもあります。こんなと
き、小さな「こだわり」にとらわれすぎて大事な「企業の価値=収益を上げること」を放
棄してしまうのはとてももったいない気がします。
作り手の考える「こだわり」が本当に必要で価値があるかどうか、買う側の立場になっ
て冷静に考えてみましょう。「絶対、こうじゃなきゃいけない」ってことは、あんまりないと
思いませんか。こだわりはほどほどにしましょう。
松下幸之助さんは、“素直な心”の働きを“融通無碍”という言葉で説明することがあっ
たそうです。融通無碍とは「五条の橋の上で弁慶がなぎなたを振り下ろすと、牛若丸が
ヒラリヒラリと身をかわしつつ、スキを見つけてピシャリと一撃を加え、降参させた。この
牛若丸の身のこなしのようなものだ」そうです。つまり、ひとつの見方考え方にこだわる
のではなく、自由自在にものを見、考え方を変え、より良い判断をしていく。「素直な心
でいれば、どんな困難に直面しても、融通無碍に対処して、自らの歩みをスムーズに
進めることができる」と言われています。
世の状況がこれほど刻々と変わる中で、主義や信念を絶対に曲げない、というのは必
ずしも合理的な行動ではないと思います。
PRISM、5年目のテーマは「融通無碍」でいきます。
投稿者 prism : 20:41 | コメント (0) | トラックバック (0)